武内は生涯燕を貫く決意

 「大学1年生の段階で、すでにプロレベルだった」

 

 早稲田大学の先輩である青木宣親は、当時を振り返り、昨年の明治神宮外苑創建90年記念奉納試合のとき、武内晋一をこう評価していました。

 

 2002年の早稲田はまさに黄金期で、4年生エースが和田毅、3年生に鳥谷敬青木宣親比嘉寿光由田慎太郎、2年生に田中浩康、そして1年生には智辯和歌山から進学した武内晋一がいました。

 

 そして、2005年のドラフトでヤクルトに大学社会人の希望枠で入団。まさに鳴り物入りでのプロ野球デビューとなりました。

 

 僕自身も、いつしか武内畠山飯原の3人がヤクルトのクリーンアップとして長年君臨するのだろうなあと思っていましたし、そういう期待をしていたいファンはとても多かったと思います。

 

 しかし、プロ野球というのはとても厳しい世界で、ファンが思い描いたような活躍は、武内はできなかったかもしれません。

 

 良い時もあれば悪い時もあった。いつの間にか川端、山田などが台頭し、次の世代である廣岡や渡邉、奥村などもどんどん育ってきている。武内が昨年の契約更改で「今年が最後かもと思っていた」と話したときは、とても辛い気持ちになりました。

 

 そういうなかで、コツコツ積み重ねて獲得した海外FAの権利。FAとは、野球選手にとって大切な権利であり、勲章であります。それを武内が得たことはとても誇らしい。

 

 「(権利行使は)考えていない。ここ(ヤクルト)でやりたい気持ち」

 

 武内はこう話して、生涯ヤクルトで現役を全うしようとしています。ルーキーイヤーから背番号「8」をつけて同一球団で引退を迎える選手は、巨人の原辰徳やロッテの有藤通世などごく一握りの選手しかいません。とても名誉なことだと思います。

 

 いま、世間は高校本塁打記録を塗り替えた早稲田実業の清宮が話題ですね。彼は良い指導者がいるチームに入れば、大成する可能性がありますが、世間が思っているような選手にならない可能性も十分あります。あの松井秀喜ですら、長嶋茂雄監督なしには大成しなかったでしょう。そういう運も大切。

 

 すごい才能を持っていながら、上手くいかない野球選手はたくさんいます。僕の好きな智さんも、プロ野球史上に残るような実力を持ちながら、現役生活の半分以上はリハビリに費やしました。しかし、そういうなかで常に前を向いて諦めなかった姿にはとても感銘を受けました。

 

 良い時にがんばることは誰だってできるんです。問題は、うまくいかない時、逆境でどれだけ自分らしくがんばれるかだと思います。そういう姿を見せてもらうことは、本当に自分の人生の大きな助けとなります。

 

 武内は今年33歳。あと何年現役ができるでしょうか。少しでも長くやって欲しい。そして、栄光と挫折を知るその経験を活かして、引退後は指導者としてヤクルトを引っ張って欲しいです。今年はサヨナラタイムリーも打ちましたが、まだまだ足りない。もっと大きく、もう一花咲かせてもらいたいですね。

 

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